れもんらいふ代表、アートディレクターの千原徹也によるラジオ番組『NAMIKIBASHI CONNECTION』。
並木橋で紡がれる様々な出会い。
ナビゲーターの千原徹也が、そこで生まれる「出会い」を通して、クリエイティブの世界を紹介します。
本日のパートナーは
歌とアコーディオンの姉妹音楽ユニット、チャラン・ポ・ランタンのももさん。
出会い
千原
そもそもの出会いは、僕がアルバム『トリトメナシ』のCDジャケットをつくった時ですよね。
もも
姉妹で打ち合わせにれもんらいふの事務所に行って。
その頃から今に至るまで、千原さんの空気感って変わらないですよねw
「やぁ、今日どんな感じ?」みたいなw
千原
第一印象的にはどんな感じでした?
もも
「ただ者じゃない人が出てきた」という感じでした。
それまで〝アートディレクター〟という職業のことをよく分かっていなかったのですが「アートディレクターってこういうことだ!」という衝撃でしたw
見た目のインパクトもすごいんですよ。
千原
どこでも目立っちゃいますw
以前、宝塚歌劇を観に行った時、一番前の席で観ていたのですが、裏で歌劇の女優さんたちが「あれは誰だ?」ってなっていたらしいです。
もも
チャランポのライブで千原さんが一番前にいたらヤだなw
確実に客席の方が目立っちゃうからw
千原
僕が校長を務めているれもんらいふデザイン塾にもゲスト講師で来ていただいて。
もも
講師の面々が豪華。
千原さんじゃないとできないようなラインナップですよね。
「どういう関係性なの?」という人ばかりで。
千原
多ジャンルの職業の人に来てもらって、いろんな話を聴いてもらうのが楽しいかなって。
そこにチャラン・ポ・ランタンさんも来ていただいた。
もも
チャラン・ポ・ランタンの結成の話や「どのようにしてこの音楽が生まれたのか?」という話をしましたね。
姉の小春ちゃんは7歳からアコーディオンをやっていて、自分の想いや今までのことなんかを真剣に話している隣で、私は「音楽で特に伝えたいことはないですね…」みたいなw
姉妹で性格があまりにも違い過ぎてw
千原
本当、二人はいいバランスだよね。
小春さんはストイックに階段を上っているんですけど、ももさんはとても自由な位置にいて。
もも
それで最終的に歌でしめた。
「この人に歌があったよかった」とみんなに思ってもらえたんじゃないかってw
千原
そこは大事な部分ですよね。
ももの魅力
千原
もともと、僕はももさんの表現力がおもしろいと思っていて。
歌だけでなく、いろんなことに巻き込みたいと思っているんですね。
今、映画『麻雀放浪記2020』でヒロインをされていますよね?
もも
千原さん、初日の朝一番に見に来てくれて「そんなお友だちいる?」って驚きましたw
本当に嬉しかったです。
千原
「歌だけ」ではなく、演技とか、いろんな方面のことができる人なんじゃないかって。
そういうところが魅力的な的に映ります。
もも
ありがとうございます。
面と向かってそういうことを言ってもらえると嬉しい。
ちょっと照れますねw
千原徹也の魅力
もも
『トリトメナシ』のジャケットデザインをお願いする時に、「千原さんってどんな人なんだろう?」っていろいろと調べたんですね。
今までの作品を見させていただく中で「あ、あれも千原さん?これも千原さんなんだ」みたいな。
千原色があるというのが魅力ですよね。
千原さんのお仕事だと知る前に、何気なく街で見ていた広告だとか。
「これ、千原さんの匂いがする広告だな」と感じることができる。
楽曲でも、新曲を出した時はみんなが知っているわけじゃなくて。
街でふと流れていて、「あ、これチャラポの曲じゃないかな?」って気付いてもらえることってとても大事だと思うんですよ。
それで一時期、「自分の声にオリジナリティないんじゃないか?」って不安に思ったことがあるくらい//
千原
思わなくていいですよ。
十分ありますよ。
もも
www
解決しました。
10年
千原
チャラン・ポ・ランタンは今年で結成10周年ですよね。
振り返ってみてどうでしたか?
もも
16歳の頃から歌いはじめて10年。
「あっという間」と言いたいところですが、長かったですね。
千原
壁にぶつかったことはありました?
もも
相方の小春ちゃんの才能が〝圧倒的〟なんですよ。
天才的、というか。
「あぁ、この人には敵わない」
隣にいて日々思うんですよね。
そういった姉の存在に対して、「自分は何なのだろう?」と悩むことはありました。
消えてなくなりたいと思っていたわけではありませんが。
チャラン・ポ・ランタンの世界観は、小春ちゃんから生み出されているものなので。
自分の存在価値について考える時期はありました。
千原
演技という形で表現の幅が広がったりして、いい感じで役割分担ができているように思います。
「二人でチャラン・ポ・ランタン」という感じが。
もも
そうですね。
ここ二年くらいで「小春ちゃんがいて、ももがいて、二人でチャラン・ポ・ランタン」というのが強まっているのを感じます。
どんどん仲良くなっていますね。
最高。
悩みの解決法
もも
「悩もう」と思えば、悩むことができることだらけで。
言ってしまえば、生きていると落ち込むことしかなかったり。
なので、とりあえずごはんを食べて、寝る。
千原
シンプルですね。
もも
悩んでいる時間って、すごい大事だと思うんですね。
ぐーっと悩めるだけ悩んでしまえばいい。
行くところまで行けば答えが出る、ということでもないので、とりあえず寝て、持ち越す。
千原
「また、新しい朝を迎える」と。
それが一番いいかもしれませんね。
仕事で悩むと、仕事で打ち返すしかないんですよね。
「この仕事、もう少しこうしたかった」とか「この仕事は僕がやりたかった」とか。
日々あるわけですよ。
カラオケに行って、サザンを歌って解決した気になっているけれど、何にもなっていなくて。
他のことでは補えないんですよね。
余計に落ち込んで帰ったりするようなことはあります。
その悩みや悔しさをバネに、自分で企画書をつくって新しく生み出さないと、精神が晴れない。
「悔しい」という想いから、「企画書を書く」というパワーが生まれる。
もも
そうですよね。
悔しい想いをすることこそ大事だったりしますよね。
そこに力が宿る。
自分らしさ
千原
作詞や作曲をする上で大切にしていることはありあますか?
もも
実は、「率先して自分がつくった曲を歌いたい」という気持ちはないんですよね。
だから曲を書く時は気楽です。
チャラン・ポ・ランタンを意識して書くよりも、もも色が出ていた方が小春ちゃんに喜んでもらえる。
「そのままがいいな」って。
千原
自分らしくね。
僕も「自分らしく」が大事ですね。
広告をつくるとクライアントさんのことをかんがえなきゃいけない。
例えば、チャラン・ポ・ランタンのCDジャケットだって「チャラン・ポ・ランタンのために!」という想いでつくるのが全うで。
でも、8割くらいは「自分がつくりたいものをつくる」という脳みそなんです。
もも
3月に『ドロン・ド・ロンド』というアルバムを出したのですが、それをつくる時に小春ちゃんと二人で同じようなことを考えていました。
今までは「より多くの人に聴いてもらうため」というところで曲作りをしていました。
でも、意外と自分が思っている〝自分たちらしさ〟と、人から見た〝チャラン・ポ・ランタンらしさ〟に徐々に差が出てきたような気がしていて。
私たちの中の〝自分たちらしさ〟に加え、新しいチャレンジを加えて曲作りをしていきたことに対して「チャラン・ポ・ランタンらしさが薄まったね」と捉えられることがあったりして。
「どうしてここにずれが起こるのだろう?」と考えた時に、自分が思っている〝自分らしさ〟と、人から見た〝その人らしさ〟は全然違うということに気付いた。
そこで改めて、10周年を迎えた『ドロン・ド・ロンド』というアルバムは、「自分たちが想う〝小春節全開のストレート100%〟にしよう」と。
まさに〝自分らしさ〟について考え直したアルバムでした。
千原
ものづくりをしていると〝自分らしさ〟というのを見失いがちになる。
特に「自分らしくあるべき」なのがミュージシャンで。
聴いている人がどう思うかということを考え出すと、分からなくなってくる。
もも
そうなんですよね。
でも、そういうことを考えることが大事なのでしょうけれど。
駆け抜けてきた10年だったので、「これってどうなんだろう?」ということを考えることもなかった。
改めて〝チャラン・ポ・ランタンらしさ〟を見つめ直した作品です。
第5回も引き続き、パートナーはチャラン・ポ・ランタンのももさんです。