れもんらいふ代表、アートディレクターの千原徹也によるラジオ番組『NAMIKIBASHI CONNECTION』。
並木橋で紡がれる様々な出会い。
ナビゲーターの千原徹也が、そこで生まれる「出会い」を通して、クリエイティブの世界を紹介します。
今週も先週に引き続き、秋元梢さんをパートナーにお迎えしています。
梢さんとの仕事の思い出
千原
今、ロゴマークで東京を盛り上げる『キストーキョー』というプロジェクトをやっていまして。
そのメインヴィジュアルを梢さんにしていただいております。
僕が何かをやる時は、だいたいメインでやってもらっていますよね?w
秋元
だいたい呼ばれるねw
もちろん自分とは離れたところにある人間関係や、仕事の中の損得で起用されることもこの業界では当たり前のようにあることだけど、千原さんと私みたいな感じもいいよね。
千原
「とりあえず秋元梢さん」っていう感じはありますね。
北海道でアピアの広告をした時も───
秋元
私、あれは騙されたと思っているからねw
広告内容自体がかわいいイメージだったから、最初は「秋元さんだとちょっとクール過ぎるんじゃないですか?」という感じだったと思います。
でも、クライアントさんも広告代理店さんも実際にお会いしたら気に入ってくださって。
衣装合わせの時に「ダンスレッスンがあるので動きやすい格好で」と言われて、「何の話をしているのかな?」って思っていて。
そうしたらヴィジュアルだけじゃなくて、ダンスをすることになってた。
千原
そこから3年間ダンスをするというねwww
秋元
そう。
それを聞いた瞬間「千原さん、ちょっといいですか」って呼びだして「全然話聞いていないんですけど、これどういうことですか?」って。
千原
「まぁまぁまぁ」ってなだめて。
秋元
「〝まぁまぁまぁ〟じゃないでしょ」ってなってw
あの時、私のところのマネージャーさんも真っ青になっていて。
「僕も聞いていないです!」って。
千原
その広告が評判よくてね。
2年連続で北海道の広告賞を獲った。
秋元
そうなんすよね。
ビルが建ってから「広告は一年に一度大きく変える」というのが通例だったのですが、結果的に3年間させていただきました。
千原
あれは本当によかった。
「梢さんは義理堅い」
秋元
思い出したけど、めちゃくちゃ喧嘩したよねw
私、本当にすごく怒ってたと思う。
千原
しゃべらなくなった時とかもあったもんねw
梢さんとの関係も終わりかもしれないっていうところまでいった。
今までは仕事だけじゃなくプライベートでもよく会っていたけど、それもなくなって…
秋元
仕事は仕事で、真剣だからね。
〝秋元梢〟が世の中に出る以上は、自分の価値を下げないようにしなきゃいけないと思っていて。
それは、最後まできちんと責任をもって全うすべきだ、と。
千原
僕たちももちろん真剣につくっているのだけど。
表に立つ側と、裏でつくる側の考えとずれる場合もあったりする。
秋元
その〝ずれ〟が起こること自体が悪いことではないというは、何かをつくったり、表現する上でとてもよくわかる。
でも主張することも大切だしね。
千原
「あ、これはもう梢さんとはもう会えないかも」って思ってた。
すると、ある日、エル・ジャポンという雑誌からメールが届いた。
雑誌が20周年を迎え、いろんな著名人に〝今後20年ずっと付き合えるであろう大切なもの〟を紹介してもらうという企画を進めていていたらしく。
そこで、こう言われた。
「秋元梢さんが千原さんのことを紹介しています」
秋元
おしゃれw
千原
すごいよね。
秋元
いろいろなことを考えていた時に、偶然エル・ジャポンさんから連絡をいただいて。
「20年後に受け継いでいきたいもの、大切にしたいもの、なくてはならないものは何ですか?」って。
もちろん家族や友人というのは当たり前なんだけど、仕事でもプライベートでも重なる人物っていえば千原さんしかいないんじゃないかなって。
「いい機会かもしれない」
千原
だから、あの企画を通して久しぶりに会った。
感動しました。
秋元
お互いきっかけをもらったなぁっていう感じじゃないでしょうか?
千原
やっぱり、梢さんは義理堅い。
秋元
でも私は0か100しかない。
家族でも友人でも、本当に好きな人しか大切にできない。
当てはまらない相手にはわりと冷たい対応だと思う。
千原
僕自身も梢さんのそういう面もたくさん見てきている。
口でものを言っていないというか、嘘なく心から言葉にしている。
そこが最も信用できる。
何より、それが一番の梢さんの魅力じゃないでしょうか?
秋元
ありがとうございます。
これからの話
秋元
私、将来のことについて「これをしたい」という明確な目標を実は持っていないタイプで。
〝流れに身を任せる〟ではないですが、自分が今までに培ってきたことだったり、人だったりがいて「気付けばそこにいた」という感覚なんですね。
もちろん、その瞬間々々での意志や選択はあります。
でも、自分の周りにいる人たちに助けられて、自分が無意識に選んでいることもたくさんあって。
そう思うと、とてもラッキーな人間だ、と。
ただ、一貫していることは───おもしろいことをしていきたいということかな。
千原
パリを含め、チャレンジする時はしているもんね。
秋元
良くも悪くも「秋元梢=カッコイイ、クール」というイメージが強くて。
モデルは「何でも着れなきゃ」とか「何でもできなきゃ」という仕事ではあるのだけど、私はキャラクターが立ち過ぎていて、モデルとしても特殊な立ち位置なんですね。
そこを崩すことに少し難しさを感じていますね。
ジャストにハマったものに関しては、誰よりもその服が似合ったり、自分にしかできない表現ができるという強みもあるけれど。
自分の違う一面───新たな一歩を見つけることはなかなか難しくて。
千原
僕にも、梢さんには〝梢さんのイメージ〟がある。
仲良くさせてもらっているので、僕としては梢さんの新しい魅力を引き出していくことができたらって思いますね。
むしろ、そういうのを他の人に見出されているところをみたら嫉妬心が生まれるなw
秋元
確かに、一番近くで見ているもんね。
千原
それが僕にとっても新しい挑戦になっているといいなって。
そういう関係でいられると。
秋元
今年が10周年という節目で。
この仕事をはじめて、「自分ひとりではできない」ということに気付かされて。
それがアートディレクターの千原さんだったり、フォトグラファー、クライアントさん、マネージャーさん…本当にいろいろな人のおかげで。
そしてファンの人がいてくれて。
自分の本を買ってくれたり、応援してくれたり。
そういう人たちに対して、何かを返せる場所、あるいは何かを通して表現できるものはないかと考えています。
それがモノをつくるのか、本を出すのか、ラジオで話すのか、具体的なことはまだ決まっていないのですが。
何かしらの表現をしていきたいと思っています。
表に出なくてもいいのかなって思う瞬間もあります。
もちろんモデルの仕事や、今みたいに人と話すこともすごく楽しいし、自分に合っていることだと思うのですが。
性格的に、裏方の仕事もいいかもって。
千原
細部に気が付く人だからね。
秋元
ササっとサポートしたりねw
多分、あと何年か経ったら、今みんなが思っている〝秋元梢〟じゃないことをしているのかもしれません。
僕然とそう思ってます。
「振り返った時に、つまらない人間でいたくはないから」
もちろんパリもこれからも行き続けたいと思うし、クリエイターの方々とお話したいなぁとも思うし。
なるべくいろんなものを吸収していきたいと思います。
千原
10年後のことを考えた時に「予想がつかない10年」の方がいいよね。
秋元
その人生に絶対千原さんはいるだろうし、もちろん、れもんらいふのみんなもいるだろうし、今仲いい子たちもいると思うし
「今いる人たちを大事にしていけたら」って思います。
千原
れもんらいふにとっては人事部ですからw
秋元
もしくは裏番長w
千原
裏番長w
うれしいね。
さいごに
千原
「一人目はこの人しかいない」
梢さんとパリに行ったことは、僕の人生にとっても大きな出来事で。
彼女との会話がなかったら生まれなかったものだと思います。
これからも人生いろいろあるとは思いますが、そんな節目には欠かせない人です。
来週もお会いしましょう。