top of page

NAMIKIBASHI CONNECTION vol.2


れもんらいふ代表、アートディレクターの千原徹也によるラジオ番組『NAMIKIBASHI CONNECTION』。

並木橋で紡がれる様々な出会い。

ナビゲーターの千原徹也が、そこで生まれる「出会い」を通して、クリエイティブの世界を紹介します。

 

秋元梢といえば千原徹也

千原徹也といえば秋元梢

千原

記念すべき第一回目のパートナー(ゲスト)をお招きしております。

モデルの秋元梢さんです。

秋元

よろしくお願いします。

千原

何事も一回目は梢さんしかない。

そもそも僕たちの出会いはZUCCaと装苑の撮影でした。

秋元

確か、フォトグラファーのレスリー(レスリー・キー)との2度目の撮影の時。

その日がたまたま私の25歳の誕生日で。

撮影終わりにバースデーケーキをいただいた。

そのケーキを持ってきてくれたのが千原さん。

千原

裏で装苑の編集部に「千原さん、このケーキ出してください」って言われてね。

秋元

お互い初対面なのにねw

実は、その時の記憶は全く残っていなくて。

写真を見返すと、確かに金髪に黒ぶちメガネの人が写っているw

やっぱり千原さんだった。

次に会ったのが、レスリーの企画で韓国アイドルの男の子たちのPV撮影の時。

ヒロイン役で私は呼ばれて。

撮影の合間、ふと空いた1、2時間、待合室で二人きりになったんだよね。

千原

そうそう広い待合室に二人だけになったんだ。

秋元

「この金髪のメガネの人は、何をやっている人だろう?」って。

そもそも、何でここにいるんだろう?ってw

千原

そう、あの日は僕、特に用事がなかったんだよね。

熱い将来の話をしましたよね。

「これから先、どうしていくか?」みたいな。

秋元

確かにあの時、私たち、いい話をしましたね。

当時、モデルやテレビの仕事をいろいろやっていたのだけれど、自分の中では歯がゆい部分があって。

ちょうど、読者モデルやインフルエンサーが世の中に出てきた頃で。

みんなそれぞれに真面目に仕事に対して向き合っていたのだろうけど、世の中からの見られ方は全てを一緒くたになっているような風潮があった。

とはいえ、具体的に自分のことを差別化できているのかというと、そうでもなかった。

自問自答を繰り返していたんですよね。

「本物のパリのショーが見たい」

千原さんと話している時に、そんな言葉が出てきた。

今振り返っても「私って、そんなこと思っていたんだ」と驚いちゃうんだけどね。

「じゃあ今度、一緒にごはんでもしましょう」って、その時は別れた。

単なる社交辞令だと思ってた。

でも千原さん、覚えてくれていたんだよね。

千原

その場を逃れるための「またごはん行きましょう」はよくありますよねw

秋元

翌日に「そのランチいつ行きますか?」って。

「あ、この人、ちゃんと約束を実行する人なんだ」という印象だった。

そのランチ会で「梢ちゃん、この前言ってた〝パリに行きたい〟という話。あれ、本当に思ってる?」って言われて。

「うん、行ってみたい」

「じゃあ、行ってみます?」

みたいなwww

ノリとしてはとても軽いんだけど、そこで背中を押された感じがあった。

それまで関わってくださった人たちに「パリのショーを観てきます」と挨拶したり、いろいろな準備を経て、実際に一緒にパリへ発った。

生のパリコレの空間を経験して、しっかりと全身で味わって。

最終日に2人でごはんを食べる。

その中で話すヒトトキが振り返りの時間であり、そこから先へと繋がるステップアップのための大切なイベントだったように思う。

千原

「パリに行ってよかった」と思える終わり方を迎えて、「また次回も一緒に行こう」というキモチになる時間だったよね。

秋元

日本に帰ってからも、それが仕事につながっていった。

私がそれまで培ってきた人間関係や、ブランドさんとの信頼関係を、千原さんがインプットして、それを東京でアウトプットしていく。

その光景を見ていることは、私にとっても素直にうれしいし、またその逆のことも生まれはじめた。

千原さんが「新しい仕事ができたから、梢ちゃん一緒にやろうよ」って。

新しいものが入ってきて、それを表現して、お互いがいい状態で循環していった。

それを繰り返しできたことが、すごくよかったなぁって。

千原

雑誌の編集長たちはおしなべてみんな忙しいからなかなか会えない。

逆にパリだと夜に時間が空いたりするので、そこで仲良くなったり。

すごく意味のあるパリだった。

秋元

あの時、「本物のパリのショーが見たい」と自分の口から出た言葉。

それを千原さんがちゃんと拾ってくれたからなのかなって。

多分ね、一人だったら、きっとその一歩を踏み出せていなかったような気がする。

 

パリでのコズエ・アキモト

秋元

今は、日本のモデルさんやタレントさんがパリのショーを観に行くことは一般的になっているけど。

私がはじめて行った時は、ブランドの人からも、編集の人からも「何しに来たの?」という感じだった。

千原

「あれ?何でいるの?」みたいなね。

秋元

怪訝な表情をされていました。

モデルとしてパリへ行くということは「ショーに出る」という選択肢しかなかったんだよね。

私は身長が165cmしかないから、ステージで歩くのはもっての外。

ただ「本物を見たい」という想いしかなかった。

千原

何よりも、想いが先にあった。

秋元

海外の人たちは誰も私たちのことを知らない状態で。

「あの黒髪の、

あのキャットラインの、

あの赤いリップの、

あのジャパニーズは一体誰だ!?」

海外の人たちのざわめきの中で、千原さんが「彼女はモデルのコズエ・アキモトだ」って、すごく一生懸命宣伝してくれて。

千原

もはやマネージメントの域だよねw

秋元

私も目立つのだけど、千原さんも背も高い上にアイコニックなファッションだから。

「あの金髪のメガネの人は誰なんだ?」ってw

お互いパリでキャラクターっぽくなったよねw

私も千原さんも英語で話すことができないんだけど。

好きなものが共通していると、言葉じゃなくても、ファッションに対しての熱量で通じ合えている部分があって。

そういう形で、私も人から人へ紹介してもらって。

ナイスにしてくれたから、こちらもしっかりお返しする。

そういう良い循環をつくることができたし、そのことでどんどんいろんな人と出会えることができたのはとても良い経験だった。

少なくとも東京ではできない体験だよね。

千原

パリだからこそ、という。

秋元

それこそはじめの頃は、全て自分でやっていたから車を用意してもらえるわけではない。

今みたいにUberのアプリがあるわけではなく。 

千原

タクシー拾うのが大変でしたよねw

一つのショーが終わったら次のショーへみんな大移動だからね。

秋元

私はピンヒールで石畳を走れないので、千原さんが走ってタクシー探して。

千原

でも、視野が狭いからすぐに見落としちゃうw

秋元

衣装も自分で持って行ったり、スーツケース2個も持って行っているのに荷物が収まりきらないから、向こうで追加のスーツケースを買ったりねw

いろんな思い出がある。

ああいったアナログな経験をしたのは貴重な体験だったなぁとw

千原

喧嘩もしたよね。

秋元

二人ともお互いに険悪な感じに気付いていながら、そのことについて触れないのw

ホテルのそれぞれの部屋に戻った時に「さっきの険悪な感じ、ゴメン」みたいな。

千原

そうそう、LINEで送り合ったりして。

秋元

楽しかったなぁ。

 

秋元梢にとってのパリ

秋元

「何しに来たの?」からはじまって、回を重ねるごとに「次もまた来るの?」となり、最終的には「じゃあ、またパリでね」というコミュニケーションに変わっていったのが楽しかった。

関係性が目に見えて密になっていった。

千原

日本でモデルとして日々を過ごしていると、わざわざパリまで行く必要はないもんね。

その中で「あ、この人はパリまで来るなんだ」というのは大きかったと思うよ。

編集長やブランドの人は「コズエ・アキモトはパリに来る人」という印象を抱いた。

秋元

それこそショーを観に行っただけのところから、VOGUEの表紙の撮影ができた、オランピアルタンのショーに出ることができた。

私の第一回目の渡仏から、全てのステップアップを千原さんが見てくれていたのはすごく大きい。

千原

「秋元梢」がどんどん成長していく姿。

パリに行くことの意味がどんどん増していった。

秋元

「今回はどういう出会いがあるんだろう?」

それは人も、仕事も、体験も。

「何を持って帰ることができるんだろう?」って。

千原

毎回、本当に行って良かったなっていう───「今回も前よりよかったね」っていうくり返しをしていたよね。

秋元

パリではじめて「私は〝秋元梢〟という一人の人間なんだ」ということに気付くことができた。

日本にいるとどうしても「千代の富士の娘」「二世の人」という目で見られる。

それは名前を前に出していなくても問答無用でそうなってしまう。

パリに行った時に、はじめて〝私〟という単体で見てもらうことができた。

そういう意味でも、パリに行ったことが自分の人生を変えてくれたような気がするかな。

千原

今ではあの頃のようにたくさん会うこともないけど、今でも変わらずに〝大事な人〟。

節目には必ず必要な人ですね。

 

第3回も引き続き、パートナーは秋元梢さんです。

bottom of page