れもんらいふ代表、アートディレクターの千原徹也によるラジオ番組『NAMIKIBASHI CONNECTION』。
並木橋で紡がれる様々な出会い。
ナビゲーターの千原徹也が、そこで生まれる「出会い」を通して、クリエイティブの世界を紹介します。
ごあいさつ
千原
渋谷の並木橋にデザインオフィス「れもんらいふ」を構えています。
並木橋───恵比寿や青山のある一帯のちょうど真ん中。
「れもんらいふ」は、いろんなクリエイターや女優さんが遊びに来る場所。
その世界観や雰囲気を番組の中に落とし込めたら、という想いがあります。
ラジオパーソナリティはずっとやってみたかった仕事の一つで。
本業は〝デザイン〟なのですが、実はしゃべることの方が好きだったりします。
普段は広告やCDジャケットを考えたり、つくったりしていて、もちろんそれは〝やりがい〟のあることなのですが、カタチにしたものをしゃべることも実はとても楽しいんですね。
ですから、この番組を聴いて、デザインやグラフィックに興味を持ってくれる人が一人でも増えたら、という想いがあります。
桑田佳祐
千原
僕の仕事の代表作の一つに、桑田佳祐さんの『がらくた』というアルバムのアートディレクションがあります。
実は、僕は昔からサザンオールスターズが大好きで。
まさか、自分の人生の中で「サザンオールスターズの〝桑田佳祐〟と出会い、一緒に仕事をする」なんて全く思っていませんでした。
桑田さんと直接お会いした時は、まるで神様と出会ったような印象で。
足が宙に浮いているような感覚で、あまりその時のことを覚えていないんですね。
『がらくた』のCDジャケットをアートディレクションする中で、桑田さんと直接やりとりさせてもらいました。
桑田さんの魅力って、「時代性を気にしない」というところにあるということに気付かされました。
「ただただ、おもしろいものを追求する」
今、何が流行っているのかは関係ないんですね。
最終的なデザインは6匹のアヒルの人形が並んでいるものなのですが。
実は、このアヒルたちは僕がイギリスに行った時のスタッフ6人へのお土産だったんですね。
色んな案を出す中で、一枚それを並べた写真があった。
すると桑田さんが「これがいい」って。
シンプルに「何がおもしろいのか」ということだけを追い求めている人なんだ。
「すばらしい人だなぁ」と改めて実感したシーンでした。
クリエイティブのはじまり
千原
「れもんらいふ」という会社は主にデザイン───大きく見ればクリエイティブに関する仕事をしています。
思い返せば、映画が好きだったことがきっかけになっているように思います。
「〝映画〟の中のどこかのパーツをやりたい」と思った時に、目を惹いたのがオープニングのタイトル。
文字がカッコイイと思ったところからグラフィックに興味を持ちました。
中学生の時に観た市川崑監督の『犬神家の一族』に衝撃を受けました。
「れもんらいふ」を立ち上げるきっかけは女優の菊地凛子さんです。
彼女のホームページをつくる話をいただいた時に、当時凛子さんが住んでいたNYまでプレゼンに行ったんです。
頼まれてもいないのにw
もちろん自費で。
当時、彼女と仲の良かったスケーター系のスパイク・ジョーンズさんとかも一緒に僕のプレゼンを聞いてくれて。
そこで「いいね」と言ってもらえて、世の中に出た。
彼女の洗練されたポートレートの上に手描きでイラストを入れた作品です。
その時、凛子さんの言葉。
「千原くんは独立して自分でやんなきゃ〝クリエイター〟と呼べないよ」
その言葉で目が覚めたというか、背筋が伸びたというか。
自分への対価が周囲からの評価につながる。
そのNYスタイルを肌感覚で感じた。
「僕もがんばろう」
そして「れもんらいふ」を立ち上げました。
それが最初の仕事と言ってもいいかもしれません。
ありがたいことにそこで世間から多くの評価を受け、『VOGUE』や『装苑』の雑誌から声がかかり、そこからファッションへと繋がっていった。
千原徹也のクリエイティブ
千原
広告はクライアントがいるので、本来は自分を表現すべきものではありません。
どちらかというと対象の人をどう見せるか、その商品をどう見せるか、ということが仕事です。
でも僕は、自分を100%出し切った方がクライアントさんも世の中の人も喜ぶんじゃないかと思っていて。
わりとわがままに自分がやりたい表現を通しますw
クライアントワークとはいえ、〝自分の作品〟としてつくっている。
自分が楽しいと思うことやって、それを共有することが、関わる人にとっても良いということを信じながらやっています。
来週はモデルの秋元梢さんをパートナーに迎え、放送します。