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躍動する魂~恩智祭り~


この熱気。

男たちの咆哮。

躍動する生命の喜び。

龍が参道を駆け登るかの如く、その迫力に息を呑む。

恩智祭り

恩智神社で年に一度に開かれる夏季大祭。

今年も例年通り8月1日に開催されました。

クライマックスでは布団太鼓と神輿を担いで131もの石段を上ります。 1500キロもの太鼓台を担いで駆け上がる様子は壮絶です。 この夏祭り、994年から続く恩智神社の例祭。 1000年以上続く歴史があります。 現在使用している神輿は1700年以上前のもの。

詳しくはこちらの記事から

時刻は14時前。

お参りを済ませた青年団のみなさんが、声高らかに宣誓を上げ、参道へと進みます。

気迫は十分に、さぁ、いざ行かん。

手拍子しながら合唱し、男たちが131段の石段をゆっくりと上り始めました。

神聖な空間は、高まる気勢で満たされていきます。

じりじりとボルテージが上がっていくのを肌で感じます。

さぁ、幹事長が出立の挨拶を!

雨がパラパラ降ってきましたが、彼らの熱気で落ちた途端すぐに蒸気になるほど。

さて、ついに布団太鼓を持ち上げます。

拝殿の周囲を三回まわり、それから参道の石段を下ります。

それがまたすごい迫力。

何せこの布団太鼓、1.5tですからね。

雨避けのカバーに守られた天幕に当たる布団。

雨が止んでくれれば、美しい姿を見ることができるのに!

神輿も続きます。

さぁ、出発だ!

急な石段へ向かい、物凄い勢いで進みます。

乗り子の太鼓の拍子に合わせ、掛け声と怒号が混じります。

布団太鼓が進む速度、実は乗り子の拍子によってコントロールされているのです。

この角度!

緊張感が伝わります!

急流を滑り落ちるように、そう、巨大な生き物が川を下るよう。

大きく脈打ちながら進んでいく。

先回りして、前の方へ。

雪崩のように凄まじい勢いで通り過ぎていく。

すると、立ち止まった布団太鼓が…

神様に感謝。

降り注いでいた雨が、ピタリと止みました。

雨避けのカバーを取り外し…

さぁ、自然と周りからは大きな拍手が。

手を打つ音と祝福の声で辺りは包まれました。

街へ繰り出した布団太鼓。

およそ6時間をかけて恩智の街を巡ります。

子どもたちも「我先に」と張り切って、祭りを盛り上げます。

いやぁ、すごかった、すごかった。

いいもの見れた!と満足していた私。

偶然、出会いました。

恩智神社宮司の新海英宣さん。

先日のプレインタビューではお世話になりました!

嶋津「先日はありがとうございました!」

新海「もう帰るんですか?」

嶋津「はい?」

新海「夜はもっとすごいですよ」

嶋津「夜…ですか?」

新海「絶対に見るべきです」

嶋津「……」

ということで、夜もやってきました!

時刻は21時前。

昼間の雰囲気とはがらりと変わり、照明が境内を照らし、男たちの熱気は疲労と混じり合い混沌とした空気が充満している。

この臨場感。

肌がピリピリとひりつく。

遠くから太鼓の音が聴こえる。

全身を駆け巡る血が、騒ぎ出すのを感じる。

参道を囲む黒山の人だかり。

見物人がデジメやスマートフォンを向けるその先に、あった!

男たちの熱気は休まることを知らず、はたまた最後の石段登りに向けて残された気力を振り絞っているのか。

センス・オブ・ワンダー!

この時私は、幻想的な生き物を見たような気がしました。

男たちの咆哮、一気呵成!

彼らの気迫はうねりながら上流していきます。

全員汗まみれ。

生命の躍動とはこのことではないでしょうか。

時々、神社の参道は「産道」と表現されることがあります。

男たちの担いだ布団太鼓に生命を宿し、それを本殿へと運び上げる。

これぞまさしく生命の神秘だと思うのです。

さぁ、これがラストスパート。

最後の石段を上がります。

来ました!

壮大なスペクタクル!

ここからはノンストップでお楽しみください。

圧巻!

もはや、言葉は要りません。

参道を駆け登った龍の姿に皆、言葉を失いました。

そして、万雷の拍手!!

熱気でレンズが滲みました。

布団太鼓は男たちに担がれ、拝殿を三周し、ようやくその身を落ち着けました。

いやぁ、素晴らしい。

私、トップレベルのエンターテイメントを目の前で見る事のできた感動に浸っております。

恩智祭り、例年行事として毎年8月1日に恩智神社で開催されます。

是非皆様、来年こそは足をお運びくださいませ。

最後に。

恩智神社の宮司の新海英宣さん、隆広さん、そして今回の取材を仲介してくださった山口光一さん、本当に有難うございました。

お借りした甚平のお陰で、スムーズに撮影をすることができました。

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