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GREEN SPACE、辰巳兄弟に話を聞いた日vol.3

全体の底上げ、そしてポップカルチャーとしての庭へ。

嶋津「お二人が造園業界の異端児ということは確かに分かりましたwww そんなお二人の庭としてのチャレンジはどのようなものになっていくのでしょうか?」 二朗「庭師は自然主義になりがちなんです。 大変ですよ、自然は。 植物っていうのは100%虫とセットなんですよ。 虫も来れば鳥も来る。 生き物が寄ってくるから人間も寄ってくるわけなんですが、苦労する部分もめちゃくちゃある。 そういうのも含め都会的に進めることができればなぁ、と思うんです。 もっと簡単に考えても良いんです。 人工的なものでもいいんですよ」 嶋津「都会的な庭をデザインしていきたい、と」 二朗「チャレンジという意味合いではそうですね。 あと、色々なものと繋がりたいですね。 例えばインテリアとしての庭。 石川直樹の写真があって、誰々(有名デザイナー)の家具があって、その部屋の窓の向こうに僕たちの庭があればいいかなって思います。 ライフスタイルの延長上にある庭」 嶋津「お、また面白そうなワードが出ましたね。 詳しくお聞かせください」 二朗「植木屋ってたいていの場合、庭からの視点をとるわけじゃないですか。 そうではなくって生活があって、その視線の先に庭がある そんなものになればいいですね。 生活の延長上に僕らの庭がある。 ライフスタイルの一部としての庭

耕造「あと、リノベーションをいかにカッコよくするか」 二朗「確かにそれだ!」 耕造「現段階で中古リノベでおもしろい庭がないんですね」 嶋津「リノベーションですか?」 リノベーション・・・古い部分の補修や内外装の変更程度にとどまるリフォームに対し、増築・改築や建物の用途変更など、資産価値を高めるための大規模な改造をさす 二朗「昭和の庭の三種の神器というものがありまして。 (つくばい)、燈篭(とうろう)、飛石(とびいし)です」 耕造「これが厄介なんです」 嶋津「と、言いますと?」 二朗「これらの3つの要素というのは昭和の庭に必ずあるものなんです。 要は皆(庭師は)、それを嫌がる」 耕造「昭和の庭にいかに手を加えずにカッコよくするか。 それが二人のテーマなんです。 三種の神器を排除するのは簡単。 取り除いて、新しいものに作り変えてカッコよくするのは当たり前なんです」

二朗「その昭和のダサいものを残しつつ。 一つ何かを加えることで見え方が変わるんじゃないか?っていうのがテーマなんです」 嶋津「大喜利のようなものですね」 二朗「そうですね。 残したまま、いかにカッコよく、おもしろく作れないだろうか。 まだ答えが出ていないけれど、それをやってみたい」 耕造「取るか、そのままにしておくか、綺麗にする、しか今までやってない。 誰もまだ挑戦していない方法を探しているんです」 嶋津「おもしろいですね」 耕造「建築では、昔の足あと(匂い)を残しながらリノベーションすることに成功しています。 庭でできないか? それが楽しみですね」 最近ずっと考えていること。 二朗「うちのスタッフに若い子が二人いるんですね。 型を教えれば良いのか、概念を教えれば良いのか分からない。 型を教えると、型しか分からない。 概念を教えると、自由にはなるが、すごく難しい」 嶋津「確かにバランスが非常に難しそうですね」 二朗「僕はなんとなくできているだけなんです。 この『なんとなく』を説明するのが難しいんです。 木をどう切るかをうまく教えることができない。 それが悩みの一つでもあります」 嶋津「確かに難しそうですね。 同じ木でも別の場所に埋まっていたらまた答えが変わる」 二朗「そうなんですよ。 それを磨く方法は数を見て、自分で考えるしかない」 耕造「それと型を作ることも大切なんですが、型にはまってしまうのもどうかと…。 『グリーンスペースと言えばこんな庭』って思われることも怖い。 今悩んでいるところなんですけどね」 嶋津「なるほど」 耕造「あと僕たちの仕事で一番難しいのはやめ時です。 空間に合わせて庭を作っていく中で『さぁ、いつ終わるか』っていうのが。 庭はどんどん足していけるので、いつやめるかの決断を下すのが非常に難しい」 二朗「ただね耕造は神の手を持っています」 耕造「ww」 嶋津「神の手ですか?」 二朗「僕一人で作っていたらカッチリとしたものになります。 規格通りと言いますか。 それを最後に耕造の手がいらんことをしてくる」 嶋津「いらんことww」 二朗「ぐちゃっとしてくる。 ぐちゃっとね。 それが肝なんですよ」 嶋津「二朗さんは反対しないのですか?」 二朗「これがね、すごいんですよ。 良いと思うから僕は反対しない。 僕の中にない発想を加えてくれて、GREEN SPACE独自の作品に仕上がるんです」 嶋津「すごいですね!」 二朗「『永遠の素人目線』と僕は呼んでいるのですが」 耕造「自分でも悩んでいるんですけどね、いつになったらプロというかww」 一同「(爆笑)」 耕造「いやいやホンマに、家の手伝いをしている状態が僕だけ続いているみたいなことですからね」 嶋津「偉大なる力ですね」

二人から聞く庭づくりの話はオモシロイ。 庭造りには時間軸と空間軸があり、常に成長する余地(または潜在的なピークのポイント)を残しながらその都度調整する。 時間軸をドットで現す絵画よりも、音楽的に似た時間と共に構築される庭の世界。 言わば建築の音楽 二人との会話もまた音楽的で、リズムとメロディが調和する。 耳に心地良く、脳みそにも刺激的で、心地良い。

スターがいないからこそ辰巳兄弟が現れた。

造園業界の未来を危惧している者は数多く存在するだろう。

しかし彼らのように他とは違うアプローチで業界自体を盛り上げる試みを繰り広げているのは稀有な存在だ。時代の流れと、現状の問題点を明確に持つプロデューサー視点と魅力的なパフォーマンスのバランス。

造園業界のスターとなり、庭をカルチャーへと押し上げ、さらに他ジャンルへの影響を与え、一つの時代を作って欲しい。

造園・建築業界の外側にいる人間にとっても生活のヒントになる辰巳兄弟の「庭的アティチュード」。

今後の彼らの動向に注目したい。

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